昨年の秋と、いう少し前になりますが、分子ガストロノミーを使った料理で名高い「タパス・モラキュラー・バー」に行ってきました。

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 憧れの分子ガストロノミーのお店! 分子ガストロノミーとはWikipedia では

分子ガストロノミー(ぶんしがすとろのみー、英: Molecular Gastronomy)とは、調理を物理的、化学的に解析した科学的学問分野である。分子美食学と訳されることもある。

 ということで、そんな学問分野のレストランって「何のこと?」と思われるかもしれませんが、要は「物理や化学を利用した新しい手段で今までにない創作料理を供する」お店になります。
 通されたのはカウンター。「バー」と名乗っている通り、シェフがバーのバーテンダーのようにお料理を提供するというスタイルです。
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 食前酒の「スパークリングマスカット」。濃厚なマスカットの味の「泡」。エスプーマ を使ったのかな?*1
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 「落葉の森」と名付けられた前菜盛り合わせ。「ポルチーニ茸のパフ」「トリュフじゃがいも」「ハンティングピグ」「松茸ご飯」「マンチェゴとリンゴ」。
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 「松茸ご飯」は真ん中のきのこの形をしたもの。おせんべいのように加工してありました。
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 本編のデギスタシオンに入る前のパフォーマンス。器に銀杏の葉や木の実や枝をあしらったところに液体窒素をかけて、「秋の香り」を楽しむというもの。
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 「キャビア」。分子ガストロノミーの定番。理科の実験でもありますが、人工イクラを作るのと同じ手法です。アルギン酸ナトリウム水溶液を塩化カルシウム水溶液の中に入れると、ゲルになってゼリー状に固まるのです。注射器を使って目の前で作るところを見せてもらって感激。中身は季節にあわせた「柿」のお味でした。
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 「サーモン、オゼイユ、柚子」。半透明の膜状の柚子に、サーモンは確か真空調理したものだったかしら……(すみません、忘れてしまいました)。オゼイユは初めて食べました。
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 「赤座海老のスケット」。
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 「イベリコと栗」。
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 「王様のモヒート」。このパフォーマンスは面白かった。バーテンダーさんが「これは心のきれいな人しか見えません、味わえません」とからっぽのグラスに何もないものを注いでいく……。「ストローで味わって下さい」と言われて躊躇いながらすってみると、球状のモヒート味的な何かが口に入ってくるという!
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 「ショウロンポウ」。小籠包? と言われて出てきたのがこれ。骨付き子羊肉の中に、ソースが入っているので「小籠包」とのこと。なるほどー。これも食べてみてびっくり、の一品でした。
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 「和牛」。ただの和牛ではなく、真空低温調理したステーキ。肉汁たっぷり!
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 「味噌汁」。これも人工イクラを作るのと同じ製法で作った味噌汁。白いのはお豆腐です。レンゲで一口にいただきます。

 さて、最後はデザートたち。
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 「パフ」。液体窒素を入れた容器の中に、パフを入れていきます。その低温のパフを口に入れると、食べた人の口や鼻から凍った白い煙が噴き出す……という、これもまたパフォーマンスを楽しむ一品。
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 「フォアグラきなこ」「ラズベリーソーダ」「パミスチョコレート」と、ひとくちデザートの盛り合わせ。
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 レモン、ライム、オレンジの盛り合わせなのですが、最初はそのままいただきます。次に、奥に見える赤い実、ミラクルフルーツを口に入れます。すると、次に食べた同じレモン、ライム、オレンジが甘く感じられるのです。ミラクルフルーツすごい、おもしろい!

 驚きと新しい味にあふれた時間でした。ただ、もっと「科学・科学」しているのを期待したのですが、そういうわけではなく。もう少し科学的な説明があると嬉しかったかな……とも*2。
 でも、あとになって考えてみたら、科学を前面に押し出してしまうと、それはとんがりすぎて(場合によってはグロテスクになってしまったりして)お料理として楽しめなくなってしまうのでしょう。科学はあくまで背景であり、料理を美しく・新しく・美味しくするための一手段でしかない。そこが分子ガストロノミー料理の「科学を取り込むぎりぎりの境界線上」の魅力なのかなと感じた次第。

*1:調べてみたら家庭用にも市販されている。エスプーマ スパークリング シルバー M 欲しい!

*2:同行者のKさんの鋭い質問にシェフがあたふたしてしまっている場面もあったりして。